2012年3月24日土曜日

研究成果ダイジェスト平成元年〜7年度|東北農研


他用途向けの超多収水稲品種「ふくひびき」

【研究のねらい】
良食味品種ブームによる銘柄米の作付急増にともない加工用の安価な米の確保が難しくなってきていることから、他用途化を目的として、多収化による低価格で酒造用掛米適性に優れた水稲品種を育成した。

【研究の成果】
(1)「コチヒビキ」/「奥羽316号」の組み合わせから育成し、平成5年度に水稲農林320号」として農林登録された。
(2)短稈・穂重型の品種で熟期は中生である。収量性は極めて高く、「あきたこまち」より20%程度多収である。
(3)いもち病圃場抵抗性は葉いもちがやや強、穂いもちは中である。耐倒伏性ははやや強で、耐冷性はやや弱である。
(4)外観品質は中で精米歩合は「トヨニシキ」と大差なく、蒸米の消化性としての直糖はやや高く、ホルモール窒素や粗蛋白質は低いなど酒造用掛米としての適性がある。
(5)米菓加工性も高く、炊飯米の食味は「キヨニシキ」程度で多収品種の中では良食味である。

写真 超多収をえた「ふくひびき」(福島農試会津支場 1992.9)
図  ふくひびき」の配布先における収量(1988〜92年)

【成果の利活用】
(1)東北地域中南部および北陸、東海地方に適する。
(2)福島県では会津地方を中心に極多収が期待され、酒造用掛米を中心として2,000haの普及が見込まれている。
(3)掛米のほか米菓加工用など他用途米の生産に活用できる。

【成果の発表年】
平成4年度


いもち病に強い良食味水稲品種「おきにいり」

【研究のねらい】
良食味品種はいもち病に弱いものが多く薬剤防除に頼らざるをえないため、耐冷性、多収性を加味しながら、いもち病抵抗性と良食味性を結びつけた水稲品種を育成した。

【研究の成果】
(1)中部47号」/「奥羽313号」の組合せから育成し、平成8年度に「水稲農林342号」として農林登録された。
(2)中長稈の中間型品種で、熟期は中生の晩に属する粳(うるち)種である。
(3)いもち病圃場抵抗性は葉いもちがやや強、穂いもちは強である。白葉枯病抵抗性もやや強である。耐倒伏性は強で、耐冷性も強である。収量性は高く、多肥でとくに多収である。
(4)玄米品種は「ササニシキ」並の上下、食味は「あきたこまち」並の極良(上中)である。

写真1 いもち病多発圃場のおきにいり(手前、健全)とササニシキ(奥、穂いもちが多い)
写真2 おきにいり(左)とササニシキ(右)

【成果の利活用】
(1)東北地域中南部に適する。
(2)宮城県では奨励品種に採用の予定で、倒伏やいもち病の発生しやすい地帯で5,000haの普及が見込まれる。

【成果の発表年】
平成7年度


加工米飯・加工食品向けの色素をもつ水稲品種「朝紫」

【研究のねらい】
むら興しなどで紫黒米を利用した料理、菓子、酒などがつくられているが、栽培適性の低い中国から導入した品種が用いられているため、我が国の栽培に適した日本稲型の改良品種を育成した。

【研究の成果】
(1)「F6東糯396」(「タツミモチ)/バリ島在来紫黒米//「中部糯57号」/「奥羽331号」(後の「ふくひびき」)の組み合わせから育成した紫黒糯で、平成8年度に「水稲農林糯343号」として農林登録された。熟期は早生の晩、草型は中間型の品種である。
(2)葉いもち抵抗性は強いが、穂いもちには弱く、耐冷性もやや弱い。耐倒伏性は中である。収量は一般品種と比べ20%程度低い。稲体の種々の部位が紫色を呈する。
(3)玄米の果皮は濃い紫色を呈するが完全に搗精した後水洗すると一般の糯米と同様の白さになる。7〜8分搗きにして、わずかに紫色の果皮を残すと炊飯米全体が紫色による。一般の白米に「朝紫」の玄米を少し混合しても炊飯米全体が赤飯のような赤紫色を呈する。

写真1 成熟期の朝紫
写真2 朝紫(上)とヒメノモチ(下)

【成果の利活用】
(1)東北地域中南部に適する。
(2)栽培にあたっては、一般米に混合しないように特に注意する。
(3)むら興しなどでの活用や愛好家の飯米に利用されるほか、和・洋菓子、酒、古風料理などで新たな需要開発が期待される。

【成果の発表年】
平成7年度


赤さび病に強く、粉が黄色い「小麦中間母本農6号」

【研究のねらい】
東北地域には、小麦の減収をもたらす病原性の強い赤さび病レースが優勢に分布している。「Agrus」は赤さび病抵抗性をもたカモジグサの遺伝子が取り込まれている染色体置換品種であるが、長稈、晩熟のため我が国では栽培しにくい。そのため、「Agrus」を母本にして我が国の栽培に適応した赤さび病抵抗性系統を育成した。

【研究の成果】
(1)カモジグサの赤さび病抵抗性遺伝子をもつ「Agrus」に「アオバコムギ」および「ミヤギノコムギ」を交配して2つの予備系統を育成し、さらにそれらを交配して平成3年度「小麦中間母本農6号」として農林登録された(図1、写真)。
(2)この系統は、「アオバコムギ」および「ミヤギノコムギ」の栽培特性をあわせもち、かつ、日本の主要な赤さび病菌レース(6A,37B,21B)に対して抵抗性を示す。
(3)赤さび病抵抗性遺伝子と連鎖した特性として、粉色に黄色味があり(胚乳にカロチノイドの一種ルテインを従来の栽培品種の2倍以上も含む)、黄色の麺など国産小麦の新しい用途開発への可能性をもつ(図2)。

図1 「小麦中間母本農6号」の系譜
図2 「小麦中間母本農6号」のLutein含量
写真 「小麦中間母本農6号」の穂型および粒形

【成果の利活用】
赤さび病抵抗性品種育成および粉色の黄色味を利用した新用途品種開発のための交配母本として利用できる。

【成果の発表年】
平成3年度


耐雪性・製粉性に優れた小麦品種「あきたっこ」

【研究のねらい】
東北北部日本海側の内陸部は積雪期間が長く、小麦の安定生産には耐雪性の向上が必要であった。また、秋田県では地域特産の稲庭うどんに適した高製粉性品種の育成が求められていた。そこで、耐雪性に優れた高品質で早生・多収の品種を育成した。

【研究の成果】
(1)「ワカマツコムギ」/「東北144号」の組み合せから育成し、平成4年度に「小麦農林137号」として農林登録された。
(2)耐雪性が強く、根雪期間の限度が約110日で「キタカミコムギ」の約80日より長い。 (3)成熟期が「キタカミコムギ」より2〜3日早く、やや多収である。
(4)製粉歩留が高いため、製粉性に優れる。
(5)製めん適性は「キタカミコムギ」と同程度かやや優れる。

写真1 「あきたっこ」の草姿 注)穂長、穂型、稈長とも「キタカミコムギ」と類似する。

  表 「あきたっこ」の特性(育成地) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 品 種 名    耐雪性   成熟期   収量    製粉    めん                      歩留    評点                (月日) (s/a)  (%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− あきたっこ     中    7.8  41.7  72.8  71.5 標)キタカミコムギ 弱    7.11 38.8  66.6  70.0 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 
注)耐雪性、成熟期及び収量は昭和59年〜平成3年度の平均値、製粉歩留とめん評点は昭和59年〜平成2年度の平均値。

写真2 秋田県における「あきたっこ」の栽培圃場

【成果の利活用】
(1)秋田県の内陸部多雪地帯および沿岸少雪地帯に適する。
(2)平成4年度に秋田県の奨励品種となった。
(3)秋田県では、稲庭うどんや乾麺の原料として利用されている。

【成果の発表年】
平成4年度


麦・大豆の輪作体系に適した早生大豆品種「トモユタカ」

【研究のねらい】
2年3作の輪作体系では、大豆の収穫時期と麦の播種時期が重なるため、これら作業時 期の競合しない早熟で晩播にも適し、麦の前・後作となりうる大豆品種を育成した。

【研究の成果】
(1)「東北52号」/「刈系102号」の組合せから育成し、平成2年度に「だいず農林92号」として農林登録された。
(2)宮城県の奨励品種である「タンレイ」より10日早く熟する早生品種で、麦との2年3作体系が可能である。
(3)センチュウおよびウイルス病に抵抗性の白目・中粒品種で、耐倒伏性もありコンバイン収穫が可能である。
(4)子実収量は普通畑、晩播転換畑で「ライデン」より優れた多収性である。
(5)豆腐の加工適性は「ライデン」より優れ、裂皮粒の発生も少なく高品質である。

写真1 草姿「トモユタカ」「ライデン」
写真2 子実「トモユタカ」「ライデン」

【成果の利活用】
(1)東北中部以南から北関東の転換畑の麦・大豆2年3作体系を実施している地帯に導入する。
(2)平成2年度に宮城県および山形県の奨励品種となった。

【成果の発表年】
平成元年度


白目で粒が大きく豆腐加工適性に優れた大豆品種「リュウホウ」

【研究のねらい】
実需者からは国産の豆腐用高品質大豆を、生産者からは輪作作物として省力化に適した品種の開発が期待されていることから、豆腐の加工適性に優れ、コンバイン収穫に適した大豆品種を育成した。

【研究の成果】
(1)「スズユタカ」/「刈交343F6」の組合せから育成し、平成7年度に「だいず農林100号」として農林登録された。
(2)秋田県の奨励品種である「ライデン」と同じ10月初旬に熟する早生品種で、「ライデン」に比べて大粒である。
(3)ダイズシストセンチュウに抵抗性である。
(4)倒伏には強く、また、着莢位置が高いことからコンバインの収穫ロスが少ない。
(5)豆腐の加工適性は「ライデン」並みに優れる。

写真1 草姿「ライデン」「リュウホウ」
写真2 子実「ライデン」「リュウホウ」

【成果の利活用】
(1)東北中部および北部地域に適する。
(2)平成7年度に秋田県の奨励品種となった。
(3)豆腐用だが、大粒であることから煮豆用としても利用できる。

【成果の発表年】
平成6年度


白目で粒が小さく納豆加工適性に優れた大豆品種「鈴の音」

【研究のねらい】
実需者からは国産の納豆用小粒大豆を、生産者からは輸作作物として省力化に適した品種の開発が期待されていることから、納豆の加工適性に優れ、コンバイン収穫に適した早生の大豆品種を育成した。

【研究の成果】
(1)「刈系244号」/刈系221号(後のコスズ)」の組み合わせから育成し、平成7年度に「だいず農林101号」として農林登録された。
(2)岩手県の奨励品種である「コスズ」に比べて約10日早く熟する早生の納豆用品種である。
(3)早熟種では多収である。
(4)倒伏が少ないことからコンバイン収穫に適している。
(5)粒は「コスズ」並みの極小粒で納豆加工適性は高い。

写真1 草姿「コスズ」「鈴の音」
写真2 子実「コスズ」「鈴の音」

【成果の利活用】
(1)東北中部および北部地域に適する。
(2)平成7年度に岩手県の奨励品種となった。

【成果の発表年】
平成6年度


機能的な組換えタンパク質を生成する方法について説明します。

中生で短稈のハトムギ品種「はとむすめ」

【研究のねらい】
関東以西で栽培の多かった「岡山在来」は晩生で長稈のため機械収穫が困難であり、また収量変動も大きかったことから、それらの解決のため中生で短稈のハトムギを育成した。

【研究の成果】
(1)「岡山在来」に放射線を照射して育成し、平成4年度に「はとむぎ農林1号」として農林登録された。
(2)成熟期は「岡山在来」に比べて大分県農業技術センターで2週間以上早く、中生の早に属する。
(3)草丈は「岡山在来」に比べて約50cm短い短稈品種であり、機械収穫に適する。
(4)穀実の形は長楕円であり、百粒重は「岡山在来」より軽いがリットル重は重い。
(5)大分県では、穀実収量は「岡山在来」より多収であった。

写真 草姿(左:はとむすめ、右:岡山在来)
図 「はとむすめ」の穀実収量(大分県農業技術センター)

【成果の利活用】
平成4年度に大分県の奨励品種となった。関東以西で栽培面積の最も多い品種である。

【成果の発表年】
平成3年度


大粒で多収のハトムギ品種「はとひかり」

【研究のねらい】
中国地方の中山間地でのハトムギ栽培は、晩生、低収の在来種が主要品種であることから生産不安定になりやすく、それらの解決のために中生で大粒の品種を育成した。

【研究の成果】
(1)「岡山在来」に放射線を照射して育成し、平成7年度に「はとむぎ農林2号」として農林登録された。
(2)成熟期は「岡山在来」より10日早いが、「はとむすめ」よりやや遅い。
(3)草丈は「岡山在来」より39p程度短く、機械収穫に適する。
(4)穀実収量は「岡山在来」より9%多収で「はとむすめ」と同等である。
(5)百粒重は「岡山在来」より11%「はとむすめ」より30%重い。

写真 草姿(左:はとひかり、中:はとむすめ、右:岡山在来)
図 「はとひかり」の百粒重(広島県農業技術センター)

【成果の利活用】
平成6年度に広島県の奨励品種となり、中国地方の中山間地を中心に普及中である。

【成果の発表年】
平成6年度


早生で短稈のハトムギ品種「はとじろう」

【研究のねらい】
東北北部におけるハトムギ栽培は、「中里在来」が主要品種であるが、草丈が高く、機械収穫に難点があること、中生種のため成熟期が水稲の収穫と重なる期間が長いことなど問題が多く、それらの解決のために早生で短稈の品種を育成した。

【研究の成果】
(1)青森県の在来種「黒石在来」から系統選抜により育成し、平成7年度に「はとむぎ農林3号」として農林登録された。
(2)「中里在来」に比べて成熟期が8〜13日早い早生種である。
(3)草丈は「中里在来」より19〜38p短い短稈種であり、機械収穫などに適する。
(4)穀実の形は長楕円であり百粒重は「中里在来」より6〜10%重い。
(5)穀実収量は「中里在来」に比べて青森県農業試験場では8%多収であり、秋田県農業試験場では同等であった。

写真 草姿(左:はとじろう、右:中里在来)
図  育成地における成熟期

【成果の利活用】
平成6年度に青森、秋田、宮城県の奨励品種となり、これらの県を中心に普及中である。

【成果の発表年】
平成6年度


エルシン酸を含まない良質・多収のナタネ品種「アサカノナタネ」

【研究のねらい】
ナタネ油は、その主成分であるエルシン酸が心機能に障害を起こすことがわかっており、カナダや欧米ではエルシン酸を含まない品種の改良が進み、普及している。我が国においても早急な改良が望まれていたことから、関東北向けの無エルシン酸ナタネ品種を育成した。

【研究の成果】
(1)短茎・早生の「チサヤナタネ」にカナダから導入した無エルシン酸品種「Z・E・N」を交配し、初期の選抜は福島県農業試験場、後代は東北農業試験場が引き継いで育成した。平成2年度に「なたね農林46号」として農林登録された。
(2)「キザキノナタネ」とともに、日本で初めての無エルシン酸品種である。
(3)抽苔期は早生の標準品種「アサヒナタネ」より早いが、成熟期は同等の中生種である。
(4)草丈は「アサヒナタネ」よりやや低いが中に属する。
(5)収量性は多に属するが「アサヒナタネ」よりやや劣る。

写真 草丈(左:アサカノナタネ、右:アサヒナタネ)
図  「アサカノナタネ」のエルシン酸含有率

【成果の利活用】
(1)耐寒雪性はやや弱く、南東北平坦地に適する。
(2)平成2年度に福島県の奨励品種となった。

【成果の発表年】
平成2年度


エルシン酸を含まない良質・多収のナタネ品種「キザキノナタネ」

【研究のねらい】
青森県は東北地方のナタネの主産地である。そこでは「カミキタナタネ」と「トワダナタネ」が栽培されていたが、それらはエルシン酸の高い品種であることから、東北北部向けの無エルシン酸品種を育成した。

【研究の成果】
(1)草丈は高いが耐倒伏性の強い「東北72号」に韓国から導入した無エルシン酸品種「Rapora」を交配して育成、平成2年度に「なたね農林47号」として農林登録された。(2)「アサカノナタネ」とともに、日本で初めての無エルシン酸品種である。
(3)成熟期は標準品種「カミキタナタネ」よりやや遅い中晩生種である。
(4)草丈は「カミキタナタネ」よりやや長い。
(5)収量性は多に属し「カミキタナタネ」よりやや多収である。

写真 青森県における「キザキノナタネ」の栽培風景
図  「キザキノナタネ」のエルシン酸含有率

【成果の利活用】
(1)耐寒雪性が強く、多収であり東北北部に属する。
(2)平成2年度に青森県の奨励品種となり、それまでの品種に置きかわって栽培されている。

【成果の発表年】
平成2年度


耐寒耐雪性に優れ良食味のナバナ品種「はるの輝」

【研究のねらい】
東北地方の冬期は寒冷で積雪も多いため栽培できる越冬野菜が少ない。その点、ナバナは夏野菜に先駆けて早春に出荷できるので、東北の寒冷積雪地帯でも容易に栽培できる耐寒耐雪性に優れた良食味ナバナ品種を育成した。

【研究の成果】
(1)「トワダナタネ」のロウ質を欠いた自然突然変異株から劣悪形質を除去して育成し、平成6年度に「なばな農林1号」として農林登録された。
(2)茎葉を被うロウ質がなく、ナバナとして緑色が鮮やかである。
(3)ほかのナバナ品種に比べて甘味が強く、青臭みや辛みが少ない。
(4)花茎が太いことから商品性が高く、収穫、調整作業が容易である。
(5)一本重が重く、商品価値の高い花茎が収穫できる。
(6)収穫開始時期は遅いが、収穫適期間が長い。

写真 「はるの輝」の草姿
図  ナバナ「はるの輝」の収穫茎の1本重(岩手県園芸試験場南部分場)

【成果の利活用】
(1)耐寒耐雪性が強く、温暖地から寒冷地まで栽培できる。
(2)平成5年度に岩手県の奨励品種となり、産地化が進められている。

【成果の発表年】
平成5年度


放牧利用に好適な小葉型シロクローバ品種「ノースホワイト」

【研究のねらい】
放牧地でイネ科牧草とマメ科牧草(シロクローバ等)の混播比率を適性にコントロールすることは容易ではない。これまで国内では放牧地用のシロクローバ品種が育成されておらず、環境に不適な海外の品種やマメ科優占の危険性の高い葉の大きな品種が使われてきた。そこで、北日本の環境に適し、放牧利用に好適な小葉型のシロクローバ品種を育成した。

【研究の成果】
(1)母系選抜法により育成し、平成6年度に「シロクローバ農林5号」として農林登録された国内で初めての放牧用小葉型シロクローバ品種である。
(2)環境適性に優れ、放牧地での生育が良好である。
(3)混播条件でシロクローバの混成比率が安定しており、イネ科牧草の生育を抑圧しない。(4)家畜の嗜好性が良好である。
(5)採種性に優れるため、安価な種子の安定供給が可能であ、。る。

写真1 外国品種「ソーニア」とイネ科牧草の混播★シロクローバが衰退してしまう★
写真2 中葉型品種「マキバシロ」とイネ科牧草の混播★シロクローバが優占してしまう★
写真3 「ノースホワイト」とイネ科牧草の混播☆シロクローバとイネ科牧草の適正な比率☆
写真4 シロクローバとイネ科牧草の比率が適正に保たれていると・・・◎牛も大よろこび◎

【成果の利活用】
(1)主に東北以北の放牧地に適する。
(2)中〜晩生のオーチャードグラス、チモシー、短草型草種(シバ等)との混播で利用する。

【成果の発表年】
平成5年度


世界で初めて、モチ性小麦を育成−小麦粉製品に革命をもたらす−

【研究のねらい】
従来、小麦にはモチ性の品種は存在しなかった。しかし、モチ性を支配するタンパク質遺伝子の研究により、モチ性小麦の育成が可能な2品種を発見した。そこで、これら2品種間で交配を行い、世界で初めてモチ性小麦の系統を育成した。

【研究の成果】
(1)モチ性小麦の「もち盛系C−D1478」と「もち盛系C−D1479」は、日本品種の「関東107号」を母、中国品種の「白火」を父とした交配組合せから、トウモロコシ花粉を利用した半数体育種法により育成した。
(2)これらのモチ性系統は、アミロペクチンのみの完全なモチ性を示す。
(3)「もち盛系C−D1478」は耐寒雪性が中で粒質が硬質、「もち盛系C−D1479」は耐寒雪性が弱で粒質が軟質である。また、両系統とも早生である。

写真 モチ性小麦および普通小麦の粒とその断面のヨウ素呈色反応(モチ性小麦は褐色、普通小麦は黒紫色)
図  モチ性小麦のアミロース含量

【成果の利活用】
モチ性小麦粉は粘りが強く澱粉の老化が遅いため、普通小麦粉にブレンドすることにより、めん、パンなどの小麦粉製品の大幅な品質改善が期待される。

【成果の発表年】
平成7年度


稲いもち病に強い品種は生育の後半ほどその抵抗性を発揮する

【研究のねらい】
安全性、環境保全などの観点から薬剤散布の回数を減らすことが社会的にも求められているため、いもち病の抵抗性程度が異なる稲品種について、葉いもち初発からのいもち病の発生の推移を経時的に調査して、防除との関係を調べた。

【研究の成果】
(1)葉いもちの初発は、抵抗性の強い品種も弱い品種も変わらない。しかし、品種に関わらず薬剤散布により初発日は遅くなる。(表1)。
(2)抵抗性の強い品種は、弱い品種よりもいもち病斑の進展が遅い。病斑面積でみると、強い品種の無防除は、弱い品種の1回防除以上に匹敵する。(図1)。
(3)最終的に「奥羽351号」などの抵抗性の強い品種は、弱い品種の5回防除以上の効果がある(表2、表3)。

図1 各品種の防除回数に対する葉いもち病斑面積率(%)。注)調査日:8/18。


どのように多くの染色体ヒトのオスはありますか
 表1 各品種の防除回数に対する葉いもち初発日(7月) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−          0回    1回    3回   5回 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 奥羽351号 12.0± 2.6 15.5± 3.5 18.0±2.8 17.5±2.1 トヨニシキ    10.7± 0.6 10.0± 0.0 16.0±4.2 20.5±4.9 あきたこまち 12.3± 1.5 15.0± 1.4 14.5±0.7 16.0±2.8 ササニシキ   9.3± 2.1 12.5± 0.7 14.5±2.1 16.0±1.4 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  表2 各品種の防除回数に対する穂いもち罹病籾率(%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−          0回    1回    3回   5回 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 奥羽351号  6.4± 0.4  3.0± 0.8  2.5±0.9  1.9±1.0 トヨニシキ    13.0± 3.8  7.6± 1.5  4.1±0.4  2.5±0.3 あきたこまち 59.4± 4.2 57.8±12.1 31.6±3.0 23.2±3.9 ササニシキ  79.6±10.3 58.0± 7.9 41.7±8.2 32.0±4.5 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  表3 各品種の防除回数に対する収量(kg/a) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−          0回    1回    3回   5回 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 奥羽351号 50.1± 1.3 52.9± 2.3 53.3±2.3 53.2±0.6 トヨニシキ    47.8± 2.2 51.3± 2.8 52.0±2.9 52.4±2.9 あきたこまち 36.9± 3.1 43.1± 1.5 44.5±4.5 47.2±0.9 ササニシキ  20.8± 7.3 37.9± 4.2 41.8±4.7 47.9±1.4 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 注)数値は、平均値±標準誤差。
【成果の利活用】
弱い品種を基準とした従来の防除体系にしたがって強い品種の防除をおこなうと、不要な防除までしてしまう可能性がある。効率的な防除をおこなうには、本成果をもとに強い品種に見合った防除体系を新たにつくっていく必要がある。

【成果の発表年】
平成7年度


酵素から迫るコメデンプン生成のメカニズム−登熟期の気温と品質の関係−

【研究のねらい】
コメの品質は穂がでて実るまで(登熟期)の気温に左右される。この時期の気温が低いとコメのデンプン中にアミロース(粘りを抑える成分)が増え、粘らないご飯になってしまう。この原因に迫るため、デンプンをつくる"酵素"の働きが気温によってどのように変化するかを解明した。

【研究の成果】
(1)登熟期の気温が低いとコメの中のアミロースの量が増える。とくに中間糯(糯と粳の中間の性質を持っている)は、増加する割合が多きいことがわかった。(図2)。
(2)登熟期の気温が変わるとコメ一粒の重さの変化やデンプンの量の変化に比べて、アミロースの量の方が大きく変わる(表)。
(3)デンプンをつくる酵素のうち、重要な5つの酵素の働き(酵素活性)を25度Cと15度Cで登熟中のコメを用いて測定し比較した。その結果、アミロースを作る酵素(結合性デンプン合成酵素)の活性だけが低温の場合に非常に高くなり、そのほかの酵素の活性は低くなった。そのためにアミロースがたくさんつくられることがわかった。

図1 コメデンプン(アミロースとアミロペクチン)の生成経路とその際に働く酵素
図2 冷温年および高温年のコメのアミロース含有率(この試験に用いた奥羽系統は中間糯)

 表 登熟期の気温とアミロース含有率などの関係
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 温 度    粒 重      デンプン      アミロース       (r/粒)     (r/粒)      (%) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 25度C   19.6(100)15.1(100) 15.0(100) 15度C   18.9(96) 14.2(94)  20.5(137) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 品種はあきたこまち。カッコ内は25度Cのデータを100とした場合の比率
図3 25度Cと15度Cで登熟中のコメの酵素活性の比較。(活性が最も高い時期に比較した。)

【成果の利活用】
コメの食味・品質の改良につながるデンプンの合成機構に関する研究やイネの登熟の良し悪しがどのようにして決まるかを明らかにする研究の基礎資料となる。

【成果の発表年】
平成6年度


冷害回避と省力化に役立つ水田の自動水管理装置「楽々君」

【研究のねらい】
水田の水管理は、冷害軽減・回避や多収に役立つ基本技術である。しかし、天気や作物の生育に応じて最適な水管理をおこなうには、経験や知識に基づく的確な判断と実施の手間が必要であり、兼業化や大規模化が進む現状では農家の負担となっている。そこで、最適な水管理をコンピュータの判断と指令により自動的におこなう装置を開発した。

【研究の成果】
(1)水田の自動水管理装置(平成4年に原型を開発)は、気象と水温と作物の状態から最適の水深と入排水の時間を推論するエキスパート水管理のソフト部分と水位調節の機械部分からなる(特許申請中:特開昭63−3734号公報)。
(2)天気予報を使う予報的水管理によって、冷害回避と用水の有効利用が可能である。平成5年の大凶作において、この装置は冷害回避と品質向上に威力を発揮した。また、肥料や農薬の省力的な水口施用にも適用できる。
(3)水管理装置にデータ送受信用の小型小電力無線、電磁弁駆動用の太陽電池を使うなどの改良を加え、適用場面の拡大と信頼性の向上に向けた努力を続けている。

 図 「診断型自動水管理装置」のあらまし

【成果の利活用】
主な試験研究および実用化試験:
(1)直播用水管理システムの構築(地域総合研究 1993〜1996)
(2)北日本型コンピュータ制御全自動水管理システムの開発(生研機構1995〜1999) (3)大規模稲作自動水管理システムの実用化(農産業振興奨励会 1995〜1999)
(4)次世代型モデル圃場整備事業(宮城県単事業 1994〜1995)
(5)水管理エキスパートシステム導入の実施事業(秋田県農業技術開発課1995〜1997)

【成果の発表年】
平成4年度


アメダス気象情報に基づき水稲の作柄を予測する

【研究のねらい】
近年の異常気象により東北地域の水稲作柄は不安定なために、行政・普及・生産者からは冷害の早期警戒・予察の総合的な地域管理システムの構築が要請されている。そのため、アメダス地域気象情報利用システムとそれを用いた作柄診断システムを開発した。

【研究の成果】
(1)市町村別水稲収量(1972〜1994)を用いて、収量の水準とその変動に特徴づけられる冷害危険度地帯区分を作成した(図1)。
(2)日照時間の測器が切り替わった1986年〜1994年までの旬別最高気温、最低気温、日照時間の3要素を用いると、アメダス地点の水稲収量を推定するための精度の高い重回帰モデルが作成できる。
(3)このモデルは、旬別気象3要素が収量の増減に及ぼす影響の程度を数量的に評価できる(図2)。また、旬別気象3要素の平均値を基礎として、暦日を追って収量の概況を監視でき、平均的収量(最低と最高収量を除いた平均値)に対する作柄指数(作況指数とは異なる)として数量的に推定できる(図3)。

図1 東北地域の冷害危険度地帯区分
図2 1995年作柄に与えた気温と日照時間の影響度 単位:s/10a
図3 地帯1.5における1993年と95年の平均作柄指数の変化 注)93年は同年と同じ気象経過と想定した場合.同一地帯では観測地点で指数値は異なる.平均的気象の場合、作柄指数は地帯1で95、地帯5で100となる.

【成果の利活用】
(1)表計算ソフトに平均的気象データとモデル式を組み込むことで容易に利用できる。
(2)気象庁による1カ月予報に基づいて作柄を予測できる。

【成果の発表年】
平成7年度


グラディオトロン(温度勾配実験施設)で冷害を研究する

【研究のねらい】
水稲の冷害研究には、自然に近い冷害気象を再現する実験環境が必要である。また、温度勾配温室は、温度の違いが作物の生理・生態へ及ぼす影響の検証に有用である。そこで、冷害研究の蓄積をもとに室内に気温勾配を生じる温室、水稲・地温勾配をつくりだす装置、冷害年の気象環境を精密に再現する人工環境室などを備えた大規模なグラディオトロンを完成し、冷害の発生メカニズムの解明と克服技術の開発を進めている。

【研究の成果】
(1)パイプハウスに換気扇とヒーターを設置して、空気の出入り口間に2〜3度Cの温度勾配をつくり水稲を栽培したところ、秋の冷害の利用により低温側を19.5度Cまで下げることができ、温度が21.5度Cより低下すると低温障害が強くなることが明瞭になった(図)。(2)グラディオトロンの温度勾配温室では、入気口の空調装置により導入する空気の温度を±10度C前後昇降でき、出入口間の気温勾配は最大10度Cまで調節できる。
(3)グラディオトロンは、写真の右からサンプル育成温室1棟、温度勾配温室3棟(冷害を起こす低温から正常に生育する高温までの気温、地温、水温の連続勾配を得る)および冷害検定温室1棟(気温と水温を制御し、品種の耐冷性を効率的に検定する)が前面に並ぶ。後方の建物の中には、人工光型の精密環境室(大型3室と中型6室)などが配置されている。

図 出穂前20日〜後10日の平均気温と収穫係数(穂重/全重)の関係 注)21.5度Cを境として、温度勾配に沿って不念により減収した。
写真 平成7年に完成したグラデイオトロンの全景

【成果の利活用】
(1)温室部分では日周期や日々の変動のある気象(とくに日照)条件下で生育データを得られるため、圃場での現象の解明と予測手法の開発にとくに有効である。
(2)グラディオトロンは、東北農業試験場と共同研究の契約を結ぶことにより外部の研究者も利用できる。

【成果の発表年】
平成7年度


レーザー機器を活用して大区画水田の凹凸を能率的に計測する

【研究のねらい】
大区画水田での圃場均平作業では、適切な均平基準面の設定が重要であることから、レーザー計測機器を活用して田面高低状態を計測し、均平作業の目安となる均平基準面を直ちに算出するとともに、コンピュータ画面上に等高線表示する簡便な技術を開発した。

【研究の成果】
(1)圃場内を走行しながら田面高低状態を計測・記録する計画プログラムと、計測データをもとに高低状態を画面表示する表示プログラムを開発した。
(2)測定車(トラクタ)レーザー受光器を取り付け一定速度で走行しながら、圃場端に設置した発光器からのレーザー光を受光し、連続的に高低データを収集する。計測所要時間は慣行法の約1/3程度で、ほぼ同精度の結果が得られる。
(3)計測終了後は迅速に均平基準面を算出でき、高低状態をカラー等高線図や頻度分布表などで表示可能である。この手法では、従来多大な労力を要していた作図のためのデータ入力の必要がなく、計測データを極めて短時間のうちに可視化表示することができる


英国の石は何ポンドです

写真1 レーザー受光器を装着した測定車と圃場端に設置したレーザー発光器
写真2 等高線図による結果表示

【成果の利活用】
(1)この技術は乾田状態の矩形圃場での使用を前提としており、均平作業をおこなう際に田面高低状態を事前に把握し均平作業を能率的に実施するために有効である。
(2)機体が大きく傾斜したり、スリップ率、沈下量が大きく変動する圃場での計測は避ける。

【成果の発表年】
平成7年度


難防除雑草ホタルイ類の発生生態を探る

【研究のねらい】
ホタルイ類水田雑草はホタルイに形態の類似する複数の雑草を指す(写真1)。これらの雑草は種によって生態的特性が異なり、合理的な防除法を確立するには区別して扱う必要があるため、東北地域の水田における発生分布を調査し、出芽率に影響する要因を解析した。

【研究の成果】
(1)調査地点の60%の水田でイヌホタルイとタイワンヤマイが混在している(図1)。
(2)湛水土壌中における貯蔵温度は比較的低温(15度C〜20度C)の出芽率に影響し、イヌホタルイとタイワンヤマイでは出芽に好適な貯蔵温度が異なった。(図2)。
(3)圃場の土壌中から回収した種子の屋外条件と15度C定温条件における出芽率に明瞭な年次変動が認められ、両草種で傾向が異なった(図3)。

図1 東北地域の水田におけるホタルイ類雑草の分布
図2 貯蔵条件を異にするイヌホタルイとタイワンヤマイの各種温度条件下での出芽率
図3 年次を異にするイヌホタルイとタイワンヤマイの各種温度条件下での出芽率
写真 ホタルイ類の花穂

【成果の利活用】
雑草種子の休眠覚醒には冬〜春の地温の変化が大きく影響している。気象条件については、さらに詰める必要がある。

【成果の発表年】
平成5年度


害虫(ウリハムシモドキ)が嫌う毛深い大豆

【研究のねらい】
環境保全型の害虫防除法の一つである耐虫性品種の利用へ向けた基礎的知見を得るため、大豆の葉を食害するウリハムシモドキの被害が、葉の表面にたくさんの毛を有する有毛大豆品種上でどのように変化するのかを明らかにした。

【研究の成果】
(1)葉の表面の毛密度とウリハムシモドキの摂食量との間に高い負の相関関係があった(図)。
(2)毛密度の高い品種T−207ではほとんど摂食加害を受けなかった。また、T−207の葉の抽出物に摂食忌避作用が認めれなかったことから、この現象に対する化学物質関与の可能性は小さい(写真1)。
(3)走査電顕を用いて葉面上の毛を観察したところ、単純な棘状の毛が観察されたのみで、忌避作用のある物質を分泌するglandularと呼ばれる毛の存在は確認されなかった(写真2)。行動を物理的に阻害し、被害を抑制する働きを有するものと考えられる。

図 葉表面の毛密度とウリハムシモドキ成虫の摂食量との関係(□:一般的な栽培品種)
写真1 ウリハムシモドキ成虫による有毛品種と無毛品種間の摂食選好性
写真2 有毛品種および無毛品種の葉面の走査電顕写真(左:T−207,右:無毛裸)

【成果の利活用】
毛密度の高い品質を栽培することによりウリハムシモドキの被害を回避することができる。

【成果の発表年】
平成6年度


野菜の根の病害を防ぐ土の生き物の探索と発病抑制の効果

【研究のねらい】
土に棲むトビムシなどの小さな動物には、野菜の根の周囲にある菌糸(病原糸状菌、カビ)を食べて根が病気に感染するのを防ぐ種類がいることから、菌糸を摂食する土壌小動物の探索と摂食による発病抑制効果を検討し、土壌伝染性病害の生物的防除法の確立をめざした。

【研究の成果】
(1)シャーレ内培養条件下で、菌糸を摂食する土壌小動物(トビムシ7種、ササラダニ1種) を見いだした。
(2)ポット試験において、これらトビムシ等の摂食行動を活用することにより、キュウリつる割病菌およびキュウリ苗立枯病菌の発病抑制効果を認めた。

写真1 シャーレを用いた解析用根域 注)左は伸びた菌糸が根に達しているが、右はトビムシがいるので達していない
写真2 写真1右における根周囲のトビムシ(根は食べない)

【成果の利活用】
(1)野外への適用にはまだ多くの実験(大量増殖、適用条件の解明など)が必要であるが、食べ物の安全性に対する関心が高まっている今日、農薬に代わる生物農薬としての利用の可能性が大きい。
(2)作物への害作用(加害、病原菌の伝播など)に留意し、より優れた種の探索が望まれる。

【成果の発表年】
平成6年度


コナガ生物的防除に役立つ寄生蜂の種類と発生消長

【研究のねらい】
アブラナ科野菜の重要害虫であるコナガは高度の殺虫剤抵抗性を発達させ、殺虫剤による防除が困難になっている。一方、北東北地方、とくにやませ地帯では寒冷気象が害虫の生息にも過酷に作用し、害虫の種類が少ないなど、天敵利用の生物的防除の実現に有利である。そこで、寄生蜂利用技術などの開発により、環境保全的な総合防除の実現をめざした。
【研究の成果】
(1)青森、秋田、岩手各県のキャベツ畑から採集したコナガの卵、幼虫および蛹に寄生する一次寄生蜂9種を確認した。
(2)盛岡市における2年間の調査では、寄生率が10%以上に達する優占種は、幼虫に寄生するニホンコナガヤドリチビアメバチとコナガサムライコマユバチ、蛹に寄生するコナガチビヒメバチ、幼虫に寄生して蛹から羽化するコナガヒメコバチの4種であった。
(3)盛岡市のキャベツ畑におけるコナガの4齢幼虫と蛹の密度は7月にピークに達した後、8月に入ると激減したが、これはコナガサムライコマユバチとコナガチビヒメバチの寄生率上昇期と一致していた。

写真1 ニホンコナガヤドリチビアメバチ
写真2 コナガチビヒメバチ
写真3 コナガサムライコマユバチ
写真4 コナガヒメコバチ
図  盛岡市のキャベツ畑におけるコナガ蛹の発生消長と主要寄生蜂の寄生率の季節的変化(1994年)

【成果の利活用】
コナガの在来寄生蜂の種類と発生生態に関する知見は、寄生蜂の生物農薬としての利用技術の開発やその密度抑圧効果を活用するコナガの総合防除法を構築する基礎資料となる。
【成果の発表年】
平成7年度


伝統的耕種法である「土入れ」はコムギ赤かび病やうどんこ病を抑制する

【研究のねらい】
「土入れ」とは越冬後のコムギの土壌をふりかける伝統的耕種法である。凍霜害で傷んだ根の機能回復、畦間の肥料成分の株元への寄せ集め、無効分げつの抑制、倒伏防止、雑草の抑制などに効果があり、昭和30年代までは麦踏みとともに麦栽培の基本技術であった。この技術はコムギの冬期に発生する紅色雪腐病に罹病した茎葉を土壌により被覆することで、赤かび病およびうどんこ病の病原菌(fusarium nivale)の伝染環を断つものと想定し、効果を検証した。

【研究の成果】
(1)コムギの節間伸長開始期と穂孕期に紅色雪腐病の被害茎葉および黄化した下位葉が土壌で完全に隠れるように「土入れ」し、収穫期までこの病原菌の動態を追跡するとともに、ほかの病害の発生消長も調査した。
(2)同じ病原菌の感染で夏期に発病する赤かび病の子のう殻形成率、止め葉病斑形成率は「土入れ」により大きく減少し、最終的な赤かび病罹病穂率も著しく減少した(図1)。
生育調査では草丈、穂数は変わらないが、収量は1割以上増加した。うどんこ病でも発生消長に差があり、発生初期(6月中旬まで)の抑制効果が大きかった(図2)。

写真1 土入れ処理前(上)処理後(下)
図1 「土入れ」によるコムギ赤かび病の抑制
写真2 赤かび病に罹った穂
写真3 うどんこ病に罹った葉
図2  土入れ処理がコムギうどんこ病の進展に及ぼす影響(1995年)

【成果の利活用】
「土入れ」は環境保全的な防除法となるが、畦間のほとんどない現在の大規模省力栽培のムギ畑では実施できないので、実用化には農業機械や経営面からの検討も必要である。

【成果の発表年】
平成7年度


寒い冬でも無加温ハウスでらくらく「菜っぱ」ができる

【研究のねらい】
寒冷地では、冬から春にかけて地場産の野菜が不足する。また、この間の農家収入も極めて少ない。一部では多重被覆による「菜っぱ」の生産がみられるが、頻繁な換気に要する作業と気遣いのため広く普及していない。そこで、省力的な技術を開発して現状の改善を図った。

【研究の成果】
(1)無加温ハウスの土壌面に深さ5p、幅10p程度の連続した溝をつくり、その底部にコマツナ、サントウサイなど低温伸長性の高い「菜っぱ」を播種(溝底播種)し、べたがけする。
(2)従来の平床にべたがけする方法と比べて、一日を通じた葉温と夜間の地温が上昇し、生育が著しく促進される。この効果は、冬に日射量の多い太平洋沿岸地帯で、また、冬に光透過率の高い東西向きハウスで高い。
(3)溝成形と播種を連続作業する溝底播種機を開発した(部品の購入・取付により、普及型の播種機を容易に改造できる。)
(4)従来の多重被覆に比べトンネルやカーテンが不要なため、資材費が減少する。また、換気作業がほとんど不要であり、農家の時間的・精神的負担が著しく軽くなる。
(5)冬期栽培の「菜っぱ」はハウスを開ける低温処理により、糖、ビタミン含有率が高まる。

岩手県岩泉町での実験風景
初期生育の差
溝底播種機「厨川1号」
播種56日後の差
ホウレンソウの栄養価に及ぼす低温処理の影響

【成果の利活用】
(1)コマツナなど吸肥力の高い「菜っぱ」の無施肥栽培は、ハウス土壌の除塩効果が高い。
(2)低温処理した「菜っぱ」は、差別化商品として地域で流通しつつある。

【成果の発表年】
平成5年度


東北の冬の寒さで美味しく栄養価の高い野菜をつくる

【研究のねらい】
ホウレンソウなどの野菜は、冬に寒気にあうと甘く美味しくなることが知られている。そこで、冬期の東北で広く普及しているが遊休化もみられるビニールハウスを活用し、低温ストレスによる良食味で高栄養な差別化商品野菜の省力・低コスト生産を図った。

【研究の成果】
(1)無加温ハウスでホウレンソウが収穫可能な大きさに育った後、ハウスの裾を約50pあげて冬の外気にさらす。そのまま低温下で栽培を続けると糖分と各種ビタミン(C、E、カロチン)含有率が急速に増大する。有害成分のシュウ酸は増加しない。この結果、同時期に市販される関東産のホウレンソウに比べ、食味と栄養価が顕著に向上する(図)。
(2)低温下の栽培中には草丈の伸びは止まるが、葉が厚くなり生体重はわずかずつ増加する。 また、外観は開帳型に変化していく(写真)。
(3)コマツナなど低温下で栽培できる他の葉菜類でも同じ効果がえられる。

写真 ホウレンソウの外観
図  ハウス開放後の品質成分の変化(ホウレンソウ)

【成果の利活用】
(1)ハウスを開けて外気の低温を利用するだけであり、手間も少なくコストもかからない。(2)収穫が長期間可能となるため、市場などへの出荷調整が容易になる。
(3)岩手県の久慈市、山形村などで栽培がはじまり、さらに各地へ普及しつつある。

【成果の発表年】
平成7年度



黒毛和種で見いだされた染色体の転座と繁殖性との関係

【研究のねらい】
ローバートソン型転座は、2本の異なる常染色体が動原体部分で融合した染色体の変異である。この転座をもつ個体からは、減数分裂時に染色体の不均衡な配偶子を生じるので、黒毛和種で確認された7/21(第7と第21染色体)ロバートソン型転座と繁殖性との関連性について検討した。

【研究の成果】
(1)7/21転座をヘテロに保有する個体では、減数分裂時に染色体の不分裂が起こり、その結果、数%であるが不均衡型の細胞を生じる(図1、図2)。
(2)7/21転座ヘテロ個体の場合、染色体の不分離によって生じた不均衡型配偶子は受精して遺伝的に不均衡な胚を形成する。これらの胚は出生前に死亡するために、7/21転座ヘテロ個体では低率であるが繁殖性の低下が起こる(表1)。
(3)7/21転座ホモ個体の場合、配偶子は均衡型細胞のみが形成されるので、繁殖性の低下は起こらない(図2)。

図1 7/21転座をヘテロに保有する種雄牛の分裂中期像、矢印:7/21転座染色体
図2  減数分裂時の染色体の不分離による不均衡型細胞の出現

 表 7/21転座ヘテロ種雄牛由来の胚盤胞の染色体分析  −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− |        |                種雄牛の核型    | |−−−−−−−−|−−−−−−−−−−−−−−−−−−| |項目      |  転座ヘテロ個体   正常個体  | |供試胚数    |        141     100      | | 分析可能数  |     56      38      | | 均衡型    |                  | |     正常   |     28      38      | |    不均衡型  |                  | |    モノソミー |      1       −      | |    トリソミー |      2       −      |   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 
【成果の利活用】
(1)7/21転座はメンデル式遺伝によって遺伝する。したがって、7/21転座種雄牛を人工授精および体外受精に供用することは差し控えるほうが望ましい。
(2)胚の損耗防止の基礎資料となる。ただし、胚の死亡時期についてはさらに検討を要する。

【成果の発表年】
平成5年度 (問合せ先:畜産部家畜育種研究室 電話 0196-43-3541)


肉用双子の連年生産−飼料の増給により双子分娩牛のエネルギー不足を改善する−

【研究のねらい】
肉用牛は分娩後80日以内に再び受胎させて、毎年連産させることが繁殖技術上の目標とされている。しかし、双子分娩牛は、妊娠・哺乳期をとおして生理的負担を受けやすく、繁殖機能の回復が遅延する可能性が大きい。そこで、肉用双子の連年生産を実現するため、双子分娩牛の繁殖機能回復の特徴と問題点およびその解決に有効な方法を明らかにした。

【研究の成果】
(1)繁殖機能回復は、子宮修復・分娩後の初回排卵と初回発情までに要した日数が目安となる。子宮修復と初回排卵に要した日数については双子分娩による影響は認められないが、初回発情は著しく遅延して連産のポイントである分娩後80日以内の受胎が困難となる。 (2)妊娠末期から哺育期にかけて双子分娩牛はエネルギー不足状態に陥り、盛んに体脂肪を分解していることが明らかとなり、初回発情遅延との関連が考えられた。
(3)エネルギー不足を改善するために、分娩後の飼料給与量を通常の120%に増給すると、過度の体脂肪分解は認められなくなり、発情再帰遅延も改善される。

図 分娩後における排卵・発情の経過
注)分娩後初回排卵、初回発情が観察された経過を18頭について個体別に図示した 双子分娩牛−100と単子分娩牛は日本飼養標準100%で飼養 双子分娩牛−120は日本飼養標準120%で飼養

【成果の利活用】
飼料の増給という簡易な手段で双子分娩後の発情再帰遅延を防止できることが明らかになり、双子生産を利用する農家に対して有効な技術である。

【成果の発表年】
平成7年度


アンモニア処理によるワラの消化性向上のメカニズム

【研究のねらい】
麦ワラや稲ワラをはじめとする繊維質飼料のアンモニア処理による消化性向上はすでに実証されているが、そのメカニズムについては未解明の部分が多い。そこで、アンモニア処理の応用技術や新たな品質改善技術を開発するために、そのメカニズムを明らかにした。

【研究の成果】
ワラ類には、繊維成分の消化を阻害するリグニンが多く含まれる。このリグニンに着目してアンモニア処理による構造変化を調べ、繊維の消化性との関係を解析した。その結果、アンモニア処理効果の発現メカニズムの一つは以下のようであることがわかった。
(1)アンモニア処理により、繊維中の架橋結合が解裂する。
(2)リグニン−フェルラ酸複合体が可溶化して、遊離する。
(3)繊維中の構造性多糖が酵素の分解を受けやすくなり、消化性が向上する。

図  アンモニア処理によるワラ繊維の消化性向上のモデル

【成果の利活用】
アンモニア処理した繊維質飼料の栄養価評価や給与技術、新たな品質改善技術の開発に活用できる。
【成果の発表年】
平成6年度


就農支援のキーポイント

【研究のねらい】
最近、地域農業の担い手が不足し、新規就農者の育成が急務となっている。そこで、就農数が最も多い、いったん就職した会社などを辞め、農業に就農した農家子弟の行動の特質を解析し、就農支援のキーポイントを解明した。

【研究の成果】
(1)離職就農者が就農時に必要と考える支援項目を摘出し、回答パターンを整理すると、農地のあっせん、長期低利資金の融資、農協等の技術指導など基礎的条件、先進地視察や経営管理のノウハウの勉強会、仲間づくりや結婚などソフト条件、高額に及ぶハウスや農業機械のリース、先進農家や試験場の研修などイノベーション(技術革新)につながる専門的な条件という三類型の支援が必要とされていることがわかった。(図1)。
(2)各離職就農者の支援ニーズの傾向をみると、就農してからの期間によって、基礎的→ソフト→イノベーションへと求めるニーズが推移している(図2)。
(3)したがって、就農支援にはこれらの類型と段階を踏まえることが必要である。

図1 就農時に必要な支援項目
注)就農時に必要な支援項目への回答(第1、2、3位)を数量化V類で整理
出所:岩手県花巻市K地区離職就農者調査(1994)
図2 就農期間によって異なる就農支援ニーズ
注)1:図中番号は就農年次が最近のものから配列(1)〜(3)94年、(4)〜K90〜81年、LM80年以前 2:類型化曲線ならびに矢印はフリーハンド

【成果の利活用】
就農の実施ならびにその評価は、行政部局などと連携協力して進める必要がある。

【成果の発表年】
平成6年度


住民参加型むらづくりを支援する−「TN法」−

【研究のねらい】
農村地域を活性化するための的確な対策がどの地域でも求められている。そのため、農村住民と関係機関が一体となってむらづくりのアイディアを発想し、それらのアイディアを実施した場合の効果を事前評価し、地域の活性化に有効と思われるアイディアを決定することが重要であり、こうしたむらづくり活動を科学的に支援する手法を開発した。

【研究の成果】
農村住民と関係機関が一体となって地域づくりを推進するための支援システム「TN法(東北農試法)」を開発した。この支援システムは、次の3つのステップから構成される。
(1)TN法第1ステップ:地域が抱えるさまざまな問題、地域活性化のアイディアを発想・整理・評価する活動を支援する。
(2)TN法第2ステップ:地域が抱える問題を構成するさまざまな要因の相互関係を総合的に解明する支援手法。克服すべき重要な問題の発見が効果的におこなえる。
(3)TN法第3ステップ:地域づくりのための複数の対策をさまざまな角度から評価し、対策の有効性・問題をランキングして、実施すべき対策を決定するという活動を支援する手法。

<住民による評価風景>
<調査結果を分析している様子>
表1中山間地域が抱える問題構造のDEMATEL分析結果
表2 活性化対策の問題解決効果

【成果の利活用】
現在、TN法は普及センターでの地域づくり指導、集落計画の策定、むらづくり塾における活動計画の策定などで活用されている。こうした実践事例を集大成し、「TN法−むらづくり支援システム実践実例集−」(東北農業研究叢書第1号、1996)を公刊した。

【成果の発表年】
平成7年度


農用地景観に対する意識を評価する

【研究のねらい】
農用地が創りだすの農村景観の重要性が指摘されており、基盤整備事業の推進にあたっても農用地景観に配慮した事業の展開が強く求められている。そこで、農用地景観に対する一般的な意識と実際の農用地から受ける印象の違いを求めて、農用地景観に対する意識を定量的に解明する手法の開発に取り組んだ。

【研究の成果】
(1)農用地に対する人々の意識わ総合的に把握するための16の指標を明らかにするとともに、意識調査結果の分析手順を一般化した。
(2)実地見学や写真を活用して、農用地景観から受ける印象を評価するための17の指標を策定した。
(3)特定の印象指標を選択して、そうした印象が農用地景観に対するどのような評価特性に基づいて形成されているかを、判別関数を用いて分析する手順を解明した。これによって、評価者の農用地景観に対する評価特性が定量的に評価できる。

写真 意識調査に用いた水田景観の写真
図1 調査・分析の流れ
表2 印象指標一覧
表3 水田景観の判別分析結果

【成果の利活用】
写真を用いて水田景観に対する農村住民(岩手むらづくりの塾の熟成36名対象)の評価特性を分析し、この手法が有効に活用できることを活用した。この方法は、生産基盤整備事業の事前評価や景観を中心とした地域づくり、景観形成作物の導入などに関する地域住民や都市住民の意識調査などに有効に活用できる。

【成果の発表年】
平成7年度


地温探査により地下水の流れを解明し農地の湿害や斜面崩壊を防止する

【研究のねらい】
地下には、昔の河道跡で石礫が集積している所や亀裂が連続している所など、地下水が流れやすい箇所(水みち)がある。農地の湿害や斜面崩壊の防止、地下水環境保全などのためには、水みちの位置やそこでの地下水の流れを解明する必要があり、そのための技術を開発した。

研究の成果】
地温探査は測定が容易で、地上の温度変化の影響を受けにくい深さ1mの地温測定をおこなって地下の状況を調べる方法である。概ね10mまでの深さの水みちを対象とするが、水みちの近くでは夏には地温低下、冬には地温上昇が生じる。地温を6m以下の測点間隔で測って、地温異常を解析することによって水みちの規模を算定することができるが、大きな水みちの存在を検出するための概査としては20mの間隔でも十分である。
(1)台地上の畑地における調査では、下図にように流下するにつれて水みちが分岐する様子がわかった。
(2)試堀をおこなって地下水の流速を調べた結果、水みち内の流速は水みち外より3〜10倍早いことが確認できた。

写真 地温測定作業
図1 右図の測線LL'の断面
図2 畑地の調査事例における水みち分布図


【成果の利活用】
地温探査は流動性の地下水の位置を調べることが目的であるので、地下水の入れ物となる地質構造を調べる調査とあわせて実施すると効果的である。

【成果の発表年】
平成5年度

 



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